2023年女子サッカーW杯オランダ代表の展望

前回のファイナリストの現在位置

Naoki Satoh
Apr 8, 2023

ちょうど昨日、女子W杯前最後の国際Aマッチ2試合の1試合目、オランダ代表はドイツとホームで対戦し、スタッツでは上回ったもののコーナーキックからのヘッドで失点。得点を奪うことが出来ずに0-1で敗れた。

前回大会2019年。2年前にユーロを制した名将Serina Wiegman率いるオランダはその勢いのままW杯初の決勝進出。決勝では現代女子サッカーの王者アメリカに敗れたものの華麗なパス回しからの攻撃で大会を席巻した(多少贔屓目)。

しかし2021年の東京オリンピック後(なお五輪はアメリカにPK戦の末敗れベスト8に終わる)、Wiegmanが契約更新せず、イングランドの監督に就任(余談だがWiegman就任後のイングランドはユーロ優勝、勝率 tk)。変わって初の外国人指揮官としてイングランド人のParsons が就任し、ユーロに臨んだものの、代表監督経験の無さが響いたかチーム作りは成功せずユーロ大会後に解任。変わってオランダ人監督のJonker が就任しW杯を戦う事となった。

ポジション別の現有戦力

GK

最優秀キーパーにも選ばれたSari van Veenendaar は引退したが、そのvan Veenendaalがユーロ緒戦で負傷して急遽出場の若手のStephanie van Domselaar が大当たり。ユーロではビッグセーブを連発し、ここ最近の試合を見るとコーチング部分は未知数だがフィードも正確で詰められても慌てずにボールを処理できる。W杯でも十分に戦えるだろう。実績のあるキーパーが他に少なく、2番手が誰になるかはちょっと不透明なのが不安要素か。

DF

センターバックはAniek Dekkerがいなくなったがもうひとりのベテランvan der Grachtは健在。コンビを組むDijkstraは経験は少ないがある程度の水準にある。ワールドカップでどこまでできるかは不安ではあるけど、そこはベテランのJanssenや最近パフォーマンスがいいNouwenもおり、まあ戦えるだろう。

サイドは個人的にはスピードのあるCasparijと攻撃参加が良いWilmsのコンビだと思うけどWilmsは守備が若干軽い印象。ドイツ戦では攻撃的MFのPelovaが何故かサイドで使われていた。このポジションは手薄なので中盤を厚くして凌ぐ方向なのかどうなのか。

MF

中盤はタレントが揃うものの前回大会でトップパフォーマンスだった不動のプレースキッカー Spitze がここ数年はピークアウトしてしまったか(流石に年齢もある)ボランチの位置でボールを失うことが多くて不安。ただここは若手で信頼の置けるキッカーがいないので彼女が替えが聞かない存在になってしまっている。個人的には一番の不安要素。

それでも中盤は選手層が厚く、前回大会から継続して10番をつけるvan de Donkの司令塔としての信頼感は絶対だし、ベテランのRoordもいる(がRoordは数年前ほどの凄みが減った感じ)。若手はスペインからの帰化選手Damarisとここ数年は定着したPelova がかなりフィットしてきてて期待できる。ただワールドカップ勝とうと思えば前回大会の中盤ほどの迫力が不足しており、もう一皮剥けてくれないと、という期待感(不安感)がある。

FW

攻撃陣は伝統的にタレント豊富なオランダ。ただ代表歴代得点トップのViviane Miedemaが負傷でW杯はアウト。前回大会で活躍した快速ウインガーのShanise van den Sandenは不選出(引退はしていないのでサプライズ選出はあるかもしれないけど4年前のスピードはない)になっている。

左サイドに最優秀選手にも選ばれた女子サッカー界現在最高の選手の一人でもあるLieke Martens。どこからでも攻撃を仕掛けられる絶対的な存在は健在。

元々はウィングで裏へ抜けるスピードに優れるBeerenstynがいるが、ドイツ戦では裏抜けでチャンスを作るも決めきれないという決定力不足を露呈し、得点力に一抹の不安がある(あとこの選手はセンターやるにはちょっとフィジカルが足りないんではないか)。

得点源としては他に19歳のEsmee Brugts(15試合4得点)や昨年のスコットランド戦で決勝点をあげたFenna Kalmaなど将来が期待できるインパクトプレイヤーはいるが、W杯という舞台で安定した活躍を期待するにはちょっと酷か。

というところでFW陣は全体的にもう少し底上げがないと決定力に不安がある

総評

総じて悪いレベルではないものの各ポジション2019年と比べると少しだけ物足りないというのが正直なところ。W杯グループリーグは王者アメリカ、ポルトガル、ベトナムと同組。アメリカ以外はW杯初出場国と、ラッキーな組とも言えるがきっちりとポルトガルとベトナムに勝利してGS突破を決めたいところ。中盤は両チームを圧倒できると思うが決定力不足がどう改善されるかが成否を決めそう。

GSアメリカ戦はノックアウトステージに進出した時に成否を占う試金石になる。いいところまで行って欲しいけど、個人的な予想としてはベスト8までじゃないだろうか。

予想を覆す活躍を見せて欲しい。

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Written by Naoki Satoh

オランダ在住 セキュリティエンジニア。専門はIT監査、IT統制、リスク。よわよわPythonista。コンサドーレ札幌サポ。タッチラグビー。語学マニア。マストドン mstdn.jp/@naokyneko Pixel7 Instagram www.instagram.com/naokisatoh_nl

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